海の底から夢を見る

誰かに私を知って欲しかっただけなんです

結局またここにいる

 

 

わたしはまたひとりだった。

 

ふと思い立って高校時代のクラスメイトと飲みに出かけることにした。

待ち合わせの時間までは、うまく話せるか不安でソワソワしていたけれど、

いざ会って食事をするととっても楽しい夜だった。

 

異性ではあるけれど、お互いを意識しあわない関係。

男女の友情というやつだろうか?

少し寂しい気もしたけれど、それでも構わない。心を許してもいいんだ。

 

お互いの身の上話に花を咲かせ、たくさん笑った。

本当は、君の苦労を知っていたから、わたしが救ってあげたいと思っていたけれど、なんだ、君強いじゃん。

 

面白おかしく後悔を語る君は、

わたしなんか必要ないほどに、強くて眩しいね。とっても輝いていたよ。

 

本当に楽しくて、思わず近いうちにまた飲みに行こうって声をかけてしまった。

それほどまでに愛おしく、素敵な夜だった。

 

わたしは彼を駅まで見送った後、終電をわざと見送って歩いて帰った。

なぜか歩きたくなってしまったのだ。自宅までは1時間以上の距離がある。

君の眩しさがわたしをそうさせたのかな。

 

夜の秋風が髪を撫でてすり抜けていく。

満たされたはずの心に穴が開いている感覚。

確かに楽しかったはずなのに、なぜだろう、今日死んでもいい気がするんだ。

 

君と解散してわたしは再び気づく。結局誰といてもひとりであること。

わたしは自分の性別すら憎いほどに自分が嫌いであること。

惨めで、無力で、最低な性格な人間であること。

 

心に穴が開いている。その穴は自己愛があってはじめて埋められるんだろう。

一瞬であるのならば、君や楽しい思い出が埋めてくれる。

けれど、ひとりになったときに気づく。

代わりの物などない事、誰かの輝きで埋めた穴はすぐに光を失い、渇く。

 

自分を受け入れられないわたしは今日も生きてしまっている。

人生の目的すら掴めない。

君の様に輝けない。眩しくて目を瞑る。

 

 

助けが欲しいのはわたしの方だった。

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