ひとりが好きでも繋がりたい
初めて出会い系サイトに登録してみた。
ただの興味本位。見知らぬ誰かと話してみたかった。
恋人がいないわけではない。安定した関係を続けている。
ただ、わたしの心が冷めている点を除いては。
次々と表示される人間。彼らを次々にスワイプして消していく。
2秒で忘れてしまう顔たちを眺めて、皆が繋がり(ほとんどはヤリモクだけど)を求めているんだなぁと、何故か少し感心してみたりした。
とても寂しい時代なんだろうな。誰もかれもが満たされない顔をしている気がする。
皆、誰かに自分を知ってもらいたい。誰かに認められて、誰かに褒められたいんだろう。それが見知らぬ誰かであっても構わないんだ。その場限りでいいんだ。
インスタント麺のように、承認欲求を手軽に満たしていく事が、当たり前になりつつある。
そうしてどんどん自分を消費していく。すぐに渇くくせに。
わたしもそんな人々のなかに埋もれていくのかなぁ。
そんな事を考えているうちにマッチ成功の通知が鳴る。
少し期待に胸を膨らませつつ「初めてなのでよろしくお願いします」的な文章を打ち込んで様子を見てみた。
そこで気が付く。何を話せば良いかわからない。
わたしは困り果ててしまい、映画好きですか?なんてつまらない事を聞いた挙句、マッチを解消されてしまった。
期待していないし、名前も顔もまともに知らない人間とは言え、急に連絡を閉ざされるのはどこか心に来るものがあった。
少しの落ち込みと共にベッドに雪崩れ込む。
つまんないな、わたしには向いてないや。
人との距離の計り方なんてわたしにはわからなかった。
心はずーっと寂しいのに。空っぽなのに。
そんなところで出会った人間が穴を埋める事など出来ないと知っている。
わたしはずっとずっと弱い。
辛い事ばかりだ。死にたいと思う毎日を繰り返して、悔いて生きている。
決して叶わない強い憧れを心に抱きながら、心の中の自分という現実を塗り潰す。
理想への渇望と現実の絶望の両極に心を裂かれてしまう。
鮮血が吹き出し、わたしは内部から崩壊する。
美しくなれないのならもう殺してしまってよ。
生きる事はあまりにも辛く残酷ね。